若女将歴十数年・・・

      第3弾は中堅どころに登場していただきましょう。


若女将S

 いつも旅館内では朝、晩と着物姿でバッチリ決めていたのですが、その日はお客様も
少なく、洋服にて館内待機。
 その姿に、ロビーでお会いした常連のお客様が「若女将も普通の人だなあ」とポツリ。
 ふ、ふつうって?
 どういう意味でございましょう?私って何者?

 そりゃあ、お客様から「窓の外からヘビが覗いてる」とのちょっと野趣に富みすぎた
内線電話にも、お客様に安心していただくため、
 「お里まわりです。よくあることでご心配なく」と申し上げた私。
 客室に駆け付け、それがお里まわり(と言われる好感度bPのヘビ)でなく、大きな
青大将だったと気づいても、動揺を隠して穏やかな笑顔を絶やさなかった・・・のも、
私って普通の人ですよねぇ。

 女将のスピード着付けの裏技として、私の帯は5分で結べる“付け帯”タイプ。
 切り帯のことで、胴に巻く部分とお太鼓が切り離されているのですが、寝坊した朝は
大変。
 その「5分」すら切っちゃう超スピードで着付けて平静を装ってみたものの、
仲居さんの「若奥さん、帯がちぐはぐですよ」の声に、「ウソォー」です。
 見ると、胴の部分とお太鼓の色柄が別々。隠すに隠せず立ち往生の私でした。

  天の声・・・ちぐはぐでもお太鼓が背中にくっついててよかったね。
         それがなかったらなんて素敵なコルセット


 その他、着付けの段階で襟にとめた洗濯ばさみ、前髪につけた巻き巻きカールが、
私にお共してロビーに登場することも度々です。


続いて若女将M

 私の旅館はペット持ち込み禁止。
 でも中には、小型犬などを夜中にこっそり持ち込んじゃうお客様がいらっしゃいます。
 なぜこれがばれちゃったか・・・
 たまたま廊下を歩いていた時、廊下に小さい、茶色の生チョコ発見。
 でもこんな所にチョコってちょこっと変。(オイ、オイ!)
 思わず鼻の先に持っていったら、ショーック!!。
 なんと、それは犬のフン。
 主人に「旅館の廊下は外と同じ。よく見て、何でも拾うなー」と笑われました。

若女将Eさんもいっちゃいますか

 一番下の子供は現在6歳。
 とても人なつっこい性格で、見知らぬお客様にも平気で話しかけています。
 ある日、姿が見えないなぁと思っていたら、ちゃっかりお客様の部屋にお邪魔して、
一緒にお茶をすすって懇談会。
 「ごゆっくりおくつろぎ下さいませ」っていうのは、お客様のことだからね。
 おまけにお菓子や果物までお土産にいただいて、後でお詫びに行ったのは言うまでも
ありません。

 またある時は、お客様のご宴会場に勝手に入っていって、用意されたお膳の前にちょこん。
 ちゃっかり日の丸が旗めくお子様ランチの前であわや・・・。
 でも宴会前でギリギリセーフ!
 下座にてご来館のご挨拶をし、にっこり頭を上げたら我が子に拍手されてた、なんて事が
なくってよかった、よかった。
 本当に子育てしながらの若女将業は大変です。

   天の声・・・このお子さん、本当に元気でかわいいお嬢さんなんですよ。
          旅館はどうしても子供たちが学校から帰ってきてからの時間や休みの日
          などの方が忙しく、ほったらかしになることもしばしば。
          でもちゃんとたくましく育ってくれています・・・たぶん。
          旅館のこと以外では、子供の方がしっかりしていたりして・・・