6年目の米作り 酒造り 「女将」  R1.5.17~12.10


 令和の時代を迎え、あわら温泉のまわりでは北陸新幹線の工事も目に見えて進んでいます。

 新年を迎えても暖かい日が続き、雪がなかなか降ろうとはしません。
 2018年の大雪を体験している私たちにとって、果たしてこれが良いことか悪いことか・・。
 地球規模での気候変動を考えざるを得ないことは確かです。
 6年目の酒造りを振り返るにあたり、そのことは避けては語れないと思います。

 ですが、今年もよいお酒ができました。
 無事このご報告ができることを喜びながら書いていこうと思います。

 
       

  6月5日(水) 田植え

 「やはり女将の酒の田植えは晴れるよね!」の言葉通り、素晴らしい晴天の中たくさんの方々を迎え
剣岳ファームにおいて田植えが行われました。

 この日に先立ち、5月14日(火)に第1回のプロジェクト会議を開催。
 また例年通りの本数で今年も行うことを確認しました。

 その後、予てよりわかさ路女将会の藤原会長より、北陸新幹線敦賀開業を4年後に控え、福井県全体の
女将会で活動したいとうれしいお誘いをいただていました。
 5月16日(木)あわら北潟温泉「hanaゆらり」において、第1回合同会議を持ちました。
 「わかさ路女将会があわらの田植えに来て、あわら温泉の皆さんが若狭に梅もぎに来ませんか?」

 それならということで田植え当日、わかさ路女将会より5人の女将が来てくれました。
 あわらは7人の女将と良子若女将、国際交流員の4人の皆さん、その他たくさんの皆さんに見守られながら
田植えを行うことができました。
 終わった後は、冷たいお茶とおろし蕎麦とわかめのおにぎり。
 3杯くらいペロッといただきました 笑 

       

  6月17日(月) 梅もぎ

 今度は私たちがわかさ路女将の会をお訪ねしました。
 6人の女将が、若狭町でオリジナル梅酒を作るための福井梅収穫をお手伝いしてきました。
 今回も国際交流員の皆さんも一緒です。
 梅醤油つくりも教えていただきました。
 それぞれの食文化を学ぶことで、若狭の良いところをPRしたり、またあわら温泉をPRしてもらったり。
 その繰り返しが福井での1泊が2泊になったり、1度が2度目の訪問につながるのではないかと思います。
 年稿博物館も見学してきました。 

 6月27日(木)には、女将会合同で福井県庁に出向き、4月23日に新しく就任された杉本福井県知事
にご挨拶に伺いました。
 北陸新幹線敦賀開業に向けて、福井県が一つになれるよう連携していくつもりです。

       

  10月15日(火) 稲刈り

 今年の夏過ぎから秋にかけては台風が次々と発生し、特に直接福井県地方に影響を与えるものは
少なくても、西日本を直撃した台風10号や千葉県を中心に暴風の被害を与えた関東史上最強の台風15号、
もっとも甚大な被害を及ぼしたのは10月12日から13日にかけて上陸した台風19号でした。
 そのたびにあわら温泉でも多くのキャンセルが発生し、対応に苦慮しました。
 台風19号では長野県の千曲川が氾濫し、新幹線車両センターが浸水し、120両の新幹線が水に浸かり
新幹線10編成が廃車となりました。
 北陸新幹線の車両が泥水に浸かるテレビ映像は衝撃的で・・体中の力が抜けていくようでした。
 「北陸新幹線ありきの旅行でした」とキャンセルの電話を受けるたびに、被害が大きい地域のことを思えば
と自身を納得させました。

 そんな台風あとの重苦しい天気と気持ちを吹き飛ばすように稲刈り当日は少し寒いながらも良い天気に
なってくれました。
 11時開始で7名の女将と2名の若女将・・と秋休み最終日のまつやさんの子供たち3人が参加してくれました。
 剣岳ファームの岡崎組合長も「日照もよく大粒に育った。台風で倒伏もあったが問題ない」と・・。
 稲穂はまさに黄金色。
 手狩りした穂を束ね、畝に積み上げたり、コンバインに乗車したりと35アール分を収穫しました。
 協力してくださる大勢の方々とわいわい作業をした後の剣岳そばは絶品。
 おなかいっぱいお蕎麦やおにぎりをいただきました。

 
       

  11月19日(火) 切り返し 初添え

 女将4人と若女将1人が久保田酒造に今年最初の仕込み作業に行ってまいりました。
 今年の仕込み作業は2工程を体験。
 ふくいレポーターさんや観光協会さんにも手伝ってもらいながらまず「切り返し」の作業を行いました。
 蒸しあげた米に麹菌をかけ乾燥(製麹)させたものを上階に吹き上げ、台の上に広げ、盛り固めます。
 今年もよいお酒になるようにと心を込めて均します。
 私たちの手はみるみるすべすべになっていきます。
 麹の力はすごいものだと感じる瞬間です。

 もう一つの工程は「添え仕込み」
 今までの5年間は小さなタンクでの仕込み作業でしたが、初めて大きなタンクを体験です。
 酒母の中に1回目初添えの150㎏の蒸米を投入。
 かくはんし、醪がフツフツと踊る様子を見下ろします。
 2日後、「仲仕込み」で300㎏、「留仕込み」で600㎏の蒸米を投入します。
 温度管理をしながら、発酵を待ちます。

 この日少し前に「月刊fu」さんより思いがけない取材依頼をいただきました。
 新年1月号で24ページにわたる「日本酒特集」をされるとのことで、その中の3ページで「女将」を
採り上げたいとのことでした。
 仕込み作業中も撮影や取材などをこなしながら、また多くの方に「女将」を発信させていただける
喜びをかみしめます。

 
       

  12月4日(火) 上槽

 女将3人と白和荘の娘である友律恵さんも参加。
 4人で辛口の初搾りに立ち会ってきました。
 タンクから圧搾機を通して搾られた黄金色の原酒は芳醇な香りを放ちます。
 蔵元からの言葉を待ちます。

 「今年の辛口の女将は、今までで一番の辛口に仕上がりました」

 話によると+8.7とのこと・・これは結構辛い。
 理由は、気温が暖かいから機械でも冷やす。でも冷やしきれずに発酵してしまう
 しかし口に含んだ瞬間はそんなに辛くない。
 キレがいい。だから食事が進むし、喉越しもいい。
 香りは今までより控えめで、酸味を感じさせない香り・・悩んだ末に・・

 「(青い)バナナかなぁ~」

 楽しみです。
 このあと、火入れしたり、加水したりして瓶詰めとなります。 
       

  12月10日(火) お披露目会

 女将若女将が9名参加してお披露目会を行いました。
 令和初めての「女将」です。
 多くの方にお越しいただき、米作りから酒造りまでの様子を披露させていただき、6年目のお酒を
試飲していただきました。
 蔵元からは「甘口は桃のような香り」と講評していただきました。
 近年にない良質の酒米を使用、例年以上にキレの良い仕上がりとなった「女将」
 翌日から各旅館で提供開始です。

 11月29日グランディア芳泉の会長がご逝去されました。
 喪中の由紀会長はお披露目会には無理じゃないか・・と思われましたが、みんなでお披露目の日を
迎えることができました。
 これも「女将の会をずっと見守ってくれていたグランディアの会長のおかげ・・」
 そう思わずにはいられません。

 会場では、昨年から参加している御酒飲帳(県内の蔵元を巡り、ラベルをコンプリートする)もご紹介
させていただきました。

 
       

 5年にわたってサポートしてくれていた坂井農林総合事務所の大濃さんが3月で転任され、
後任の竹下さんには大変な負担をおかけしました。
 試作段階ですが、「女将」のお酒入りフェイスマスクの開発の取り組みも進行中です。
 加えて北陸新幹線敦賀開業時に「あわら」の確固たる「顔」となれる土産品の開発も宿題となっています。
 そのためにもプロジェクトメンバーの方々にお集まりいただき、「女将」の酒から派生する様々な取り組み
の意見交換を重ねています。

 うれしいニュースも・・。
 2018年5月5日に全焼したべにや旅館再建に向けての地鎮祭が1月12日(日)行われました。
 2021年春の開業を目指します。

 新型コロナウイルスによる様々な影響・・インバウンドの増加も簡単な問題ではないようです。

 
       

 2020年、東京オリンピックの開催、オリンピックイヤーです。
 5月31日(日)にはあわら温泉街にて聖火リレーが行われます。
 にぎやかな華々しい1年でありますように・・。

 今年も・・7年目の米作り、酒造りに精進します。